▪️目的
Webサイトにアクセスするとき、私たちは普段「https://example.com」のようなドメイン名を使います。
しかし、コンピューター同士が通信するときには、IPアドレスを利用して通信相手を識別します。
では、
「example.com」のようなドメイン名から、どうやって接続先のIPアドレスを見つけているのでしょうか?
そこで登場するのが**DNS(Domain Name System)**です。
AWSには、このDNSを利用してドメイン名と接続先を管理できるサービスとしてAmazon Route 53があります。
この記事では、AWS初心者向けにRoute 53の基本的な仕組みやDNSとの関係、レコード、Hosted Zoneなどについて解説します。
この記事を読むことで、以下の内容が分かるようになります。
- Route 53とは何か
- DNSとは何か
- ドメイン名とIPアドレスの関係
- Hosted Zoneとは何か
- DNSレコードとは何か
- Aレコード・CNAMEレコードとは何か
- Route 53からELBへ接続する仕組み
- Route 53の代表的な機能
▪️Route 53とは?
Route 53とは、AWSが提供するDNSサービスです。
DNSとは、ドメイン名とIPアドレスなどの情報を対応付ける仕組みです。
例えば、
example.com
↓
203.0.113.10
のように、ドメイン名から接続先を調べられるようにします。
Route 53を利用すると、AWS上でDNSに関する設定を管理できます。
また、DNSだけではなく、ドメインの登録やヘルスチェック、DNSを利用したルーティングなど、さまざまな機能を提供しています。
▪️そもそもDNSとは?
Route 53を理解するためには、まずDNSについて理解しておきましょう。
DNSは、簡単に言うと、
ドメイン名とIPアドレスなどの情報を対応付ける仕組み
です。
例えば、Webサイトへアクセスするとき、
https://example.com
というURLをブラウザに入力します。
しかし、ブラウザがそのまま「example.com」という文字列を使ってWebサーバーへ通信するわけではありません。
DNSを利用して、example.comに対応する接続先の情報を調べます。
イメージすると、
ブラウザ
↓
example.comはどこ?
↓
DNS
↓
接続先の情報を取得
↓
Webサーバーへ接続
となります。
▪️ドメイン名とIPアドレス
例えば、あるWebサーバーに以下のIPアドレスが割り当てられているとします。
203.0.113.10
このIPアドレスを直接ブラウザへ入力すれば、接続先を指定できます。
しかし、
https://203.0.113.10
よりも、
https://example.com
のほうが覚えやすいですよね。
そこで、
example.com
↓
203.0.113.10
という対応関係をDNSで管理します。
DNSによって、人間が扱いやすいドメイン名と、通信で利用されるIPアドレスなどを結び付けています。
▪️Route 53を使った名前解決
Route 53を利用すると、例えば、
example.com
というドメイン名に対して、どこへ接続するのかを設定できます。
例えば、
example.com
↓
ALB
という構成です。
ユーザーが、
https://example.com
へアクセスすると、DNSによって接続先を調べ、Webシステムへ接続します。
AWSでWebサイトを構築する場合には、Route 53とELBを組み合わせる構成がよく登場します。
▪️Hosted Zoneとは?
Route 53を理解するうえで重要なのが**Hosted Zone(ホストゾーン)**です。
Hosted Zoneとは、簡単に言うと、
特定のドメインに対するDNSレコードを管理する場所
です。
例えば、
example.com
というドメインを管理する場合、
Hosted Zone
└── example.com
という形で管理します。
このHosted Zoneの中に、
Aレコード
CNAMEレコード
MXレコード
TXTレコード
などのDNSレコードを登録します。
イメージすると、
Hosted Zone
└── example.com
├── Aレコード
├── CNAMEレコード
├── MXレコード
└── TXTレコード
という構造です。
▪️DNSレコードとは?
DNSレコードとは、ドメインに関する情報を登録したものです。
例えば、
example.com
に対して、
203.0.113.10
というIPアドレスを対応付ける場合、Aレコードを利用できます。
このようにDNSレコードには、
「このドメインについて、この情報を使ってください」
という情報が登録されています。
▪️Aレコードとは?
Aレコードは、ドメイン名をIPv4アドレスへ対応付けるレコードです。
例えば、
example.com
↓
203.0.113.10
という対応付けを行います。
イメージすると、
Name : example.com
Type : A
Value: 203.0.113.10
となります。
ユーザーがexample.comへアクセスしたとき、DNSによってこの情報が返されることで、IPv4アドレスを利用した通信につなげられます。
▪️AAAAレコードとは?
IPv6アドレスを指定する場合は、AAAAレコードを利用します。
例えば、
example.com
↓
2001:db8::1
のようなIPv6アドレスを登録できます。
整理すると、
| レコード | 対応するアドレス |
|---|---|
| A | IPv4 |
| AAAA | IPv6 |
となります。
▪️CNAMEレコードとは?
CNAMEは、あるドメイン名を別のドメイン名へ対応付けるためのレコードです。
例えば、
www.example.com
↓
example.com
のような設定が考えられます。
CNAMEではIPアドレスを直接指定するのではなく、別のドメイン名を指定します。
▪️Route 53ではALBへの接続にも利用できる
AWSでWebシステムを構築すると、Route 53とALBを組み合わせることがあります。
例えば、
ユーザー
↓
example.com
↓
Route 53
↓
ALB
↓
Target Group
↓
EC2
という構成です。
この場合、ユーザーはALBのDNS名を直接入力するのではなく、
https://example.com
という独自ドメインを利用できます。
Route 53でDNSを設定することで、ドメイン名からALBへつなげることができます。
▪️Route 53のAliasレコード
AWSでRoute 53とALBを組み合わせるとき、Aliasレコードがよく利用されます。
Aliasレコードは、AWSリソースをDNSの名前解決先として指定するために利用できます。
例えば、
example.com
↓
ALB
という設定ができます。
ALBなどのAWSリソースに対して、Route 53から直接関連付けるイメージです。
そのため、AWS環境で、
独自ドメイン
↓
ALB
という構成を作るときに便利です。
▪️Route 53とELBを組み合わせたWebシステム
これまでの記事で学んできたサービスと組み合わせてみましょう。
Internet
│
↓
┌────────────────┐
│ Route 53 │
│ DNS │
└───────┬────────┘
│
↓
┌────────────────┐
│ ALB │
│ Listener │
└───────┬────────┘
│
↓
┌────────────────┐
│ Target Group │
└───────┬────────┘
│
┌──────┼──────┐
↓ ↓ ↓
EC2 EC2 EC2
ユーザーから見ると、
https://example.com
へアクセスするだけです。
その裏側では、
ドメイン名
↓
DNSで名前解決
↓
ALB
↓
Target Group
↓
EC2
という流れで通信が行われます。
ここまで理解すると、これまで学んできたAWSサービスがかなり一つにつながってきます。
▪️Route 53のルーティングポリシー
Route 53には、DNSの問い合わせに対してどの接続先を返すかを制御するルーティングポリシーがあります。
代表的なものとして、以下があります。
- Simple routing
- Weighted routing
- Latency-based routing
- Failover routing
- Geolocation routing
- Geoproximity routing
- IP-based routing
- Multivalue answer routing
例えばWeighted routingでは、複数の接続先に対して重みを設定できます。
example.com
ALB-A → 80%
ALB-B → 20%
のように、DNSの応答を分散させることができます。
これを利用すると、段階的な移行やテストなどに活用できます。
▪️ヘルスチェックとRoute 53
Route 53には、エンドポイントの状態を確認するヘルスチェックの機能もあります。
例えば、
WebサーバーA → 正常
WebサーバーB → 障害
という状態を確認し、設定したルーティングと組み合わせることができます。
これによって、障害が発生した接続先を避けて、正常な接続先へ誘導する構成を作ることができます。
ただし、Route 53のヘルスチェックと、前回の記事で紹介したELBのターゲットヘルスチェックは別の仕組みです。
ここは混同しないようにしましょう。
▪️Route 53とドメイン登録
Route 53では、DNS管理だけではなくドメイン登録もできます。
例えば、
example.com
というドメインを取得し、そのドメインに関するDNS設定をRoute 53で管理する、といった利用方法があります。
ただし、
ドメインをRoute 53で登録すること
と、
Route 53でDNSを管理すること
は別の機能です。
他社で取得したドメインについても、DNSのネームサーバーを適切に設定することで、Route 53をDNSサービスとして利用できます。
▪️Route 53のメリット
Route 53には、以下のようなメリットがあります。
① AWSサービスと連携しやすい
ALBやCloudFrontなど、AWSのサービスと組み合わせてDNSを管理できます。
② ドメイン名でサービスへアクセスできる
IPアドレスを直接指定するのではなく、
https://example.com
のような分かりやすいドメイン名を利用できます。
③ DNSルーティングを柔軟に設定できる
重み付けやレイテンシーなど、さまざまな条件を利用してDNSの応答を制御できます。
④ 可用性を考えた構成を作れる
ヘルスチェックやフェイルオーバーなどと組み合わせることで、障害発生時の接続先切り替えを考慮した構成を作れます。
▪️Route 53と他のAWSサービスとの関係
Route 53単体で利用するだけでなく、他のAWSサービスと組み合わせることで、より実用的なシステムになります。
例えば、
♦︎Route 53 + ALB
example.com
↓
Route 53
↓
ALB
↓
EC2
Webサービスでよく利用される構成です。
♦︎Route 53 + CloudFront
example.com
↓
Route 53
↓
CloudFront
↓
S3 / ALB
CDNを利用したWebサイトなどで使われます。
♦︎Route 53 + 複数リージョン
Route 53
├── 東京リージョン
└── 大阪など別リージョン
ルーティングポリシーなどを利用して、複数の接続先を制御する構成も考えられます。
▪️Route 53を理解するためのポイント
Route 53を学ぶときは、以下の関係を押さえておくと分かりやすくなります。
ドメイン
↓
Hosted Zone
↓
DNSレコード
↓
名前解決
↓
接続先
例えば、
example.com
↓
Hosted Zone
↓
A / Aliasレコード
↓
ALB
↓
Target Group
↓
EC2
という流れです。
▪️まとめ
今回はAWSのRoute 53について解説しました。
Route 53は、AWSが提供するDNSサービスです。
DNSによって、
ドメイン名
↓
接続先の情報
を対応付けることができます。
Route 53では、Hosted Zoneの中でDNSレコードを管理し、AレコードやAAAAレコード、CNAMEレコードなどを利用してドメインに関する情報を設定します。
また、AWSのWebシステムでは、
ユーザー
↓
Route 53
↓
ALB
↓
Target Group
↓
EC2
のように、これまで学んできたサービスと組み合わせて利用できます。
Route 53は単なる「ドメインとIPアドレスを紐付けるサービス」ではなく、ルーティングやヘルスチェックなどを利用して、AWS上のシステムへのアクセスを柔軟に制御できるサービスです。
AWSでWebシステムを構築するうえでは、DNSの知識と合わせて理解しておきたい重要なサービスです。
次回は、AWSのネットワークやセキュリティをさらに理解するために、VPC Endpointについて解説します。
*「VPC Endpoint」の記事はこちら
→「https://lovelabengineer.com/2026/10/09/awsのvpcエンドポイントとは?プライベートサブネッ/」

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